岡山県北(美作地域)のおでかけ・お散歩情報

北房ぶり市

  北房呰部(あざえ)地区は古くから関所が置かれ、備中と山陰・出雲街道を結ぶ交通の要衝でした。北房地区は吉備の奥座敷であり、古代より大きな勢力を持つ豪族が移り住んだが、江戸時代は備中松山藩の所領となった。
  中津井陣屋に置かれた代官所はこの関所を管理していたが、それは藩主が伊勢亀山藩に移封した後も続き、遠く伊勢藩主の飛び地として所領されていた。
  市は移封前の松山藩の時代から奨励され、年三度開かれたというが江戸初期に年越し魚を食べる風習が芽生えつつあったことと相まって、江戸中期には旧正月の市に鰤を持ち込まれることが定着し賑わった。寒い山間部の町で冬の楽しみであったに違いないと思われます。その景気にあやかり人々は「市の風に当たる」と称して出かけて行き、無病息災の験を担いだと言います。
  江戸中期に広まった年越し魚の慣習は、関東では鮭でしたが西日本では鰤でした。ブリは出世魚であり縁起が良いとされたことと、氷見(富山湾)を中心として若狭湾など日本海の漁場で獲れ、冬の脂ののった鰤し特に寒ブリと呼ばれて喜ばれました。内臓を抜き取って塩漬けにされた鰤は北前船で境港へ持ち込まれたものが荷駄(馬借)や背負子で陸路を運ばれ、半ば発酵したものが用いられたようです。その独特の風味が喜ばれ身は茹でてほぐし、アラは粕汁で食べられました。
 
  現代のぶり市は地元呰部商店街にて町おこしとして復刻された歴史行事でもあります。中世の市の様子を再現し、朝9時に伊勢藩の飛脚が出発し、10時の「ぶり市許可状伝達式」に運ばれます。代官がそれを受け取り、商店街の会長に手渡して始まりますが、この伝達式が一つの見所になっています。
 
  呰部商店街は当日歩行者天国となり、関所跡の町並みの中を歩いて過ごすことができます。地元の人たちのバザーや露店などが軒を連ね、町屋の軒にはぶり提灯が下げられます。そして丸太組みに筵(こも)掛けしたぶり小屋では大量に積まれた一尾ものの鰤がその場で豪快に捌かれ解体されて直売されます。
 
  厳寒期にも関わらず中世さながらに多くの人が詰めかけるイベントとなっています。
 
 地図: 岡山県真庭市下呰部 電話: 0866-52-2111
 営業時間: 10:00~16:00 2月の第1日曜日


ぶり

ぶり
ブリ小屋には一尾もののブリがトロ箱で積まれています。

チンドン屋さん

チンドン屋さん
チンドン屋さん
  歴史行事に相応しく、古い町並みにも溶け込む中世の広告チンドン屋さんの姿を見ることができます。背中にはぶり市の垂れ幕を下げて町を歩きます。

提灯

提灯
町屋・商家の軒に泳ぐぶり提灯

門
町中には関所を模した門があります

雑踏

雑踏
たいへん多くの人で賑わいます。動員数は三万とも言われます。

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